日々のこと11

日記風に

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某月某日


  秋もふかまり、たくさん鳥たちがこの土地にも戻ってきた。
鳥にであう前は(自分では数年前に初めて会うことができたと思っている)
秋が好きではなかった。
その理由はこれまでいくつも言いつのってきたので省略。

 さて鳥のこと。
数十グラムほどしかない身体の鳥でも海を渡ってくることにまず驚嘆し、
ちょっと思い入れて、自分の身をそんな状態において考えてみて、またさらに感動している。
今日はいろんな場所で、双眼鏡のむこうに、ジョウビタキ、イソシギ、キンクロハジロ、
そしてちょっとふっくらしだしたスズメたち。
 


某月某日

  木村弓さんの歌をきく。
お寺のお堂の響きぐあいが彼女の声と竪琴にマッチしている。
ぼくはカブリツキにじんどる。
そして木村さんの歌というか呼吸を聴いた。
しかしいつも感じるのだが、なぜ芝居や音楽会ではカブリツキがけっこう空いているのだろう。
わかるようで、やっぱりわからない… 

  大むかし学生時代、銀座にあった『銀巴里』というシャンソンのライブハウスに
長谷川きよしさんの歌を聴きにいった。
もちろんカブリツキで。
三つのステージをずっとそこにいつづけて、店の人にいやな顔をされたものだ。
彼のギターの指使いを見たかったのだ。
  今回の木村さんの竪琴のそれはコピーするにはむずかしすぎた。
もっともそれが目的ではなかったからいいんだけれど… 
歌う表情の美しいひとであった。 



某月某日

  実は前項のつづき。木村さんの歌のあと場所をかえて、演舞と演武があった。
合気道を母体にしているのかと思うが、もっと身体そのものを中心にすえようという
『ルネッサンス』的なものというべきか。
闘う場面と健康法的に身体を動かすこととを統一してとらえようということらしい。
実際、参加者全員でその動きを体験した。
ぼくの知っている瞑想法もおおぜいでするほうがいいのだけど、これもそうなのだろうか。
ただ、ぼく個人としては、じっとみんなで座っているのは構わないけれど、
人前で『おどる』のはどうも…



某月某日

  街を歩いていて、将棋の盤駒の専門店を見つけた。
都内にいたころはたくさん目についたが、この街ではめずらしい。
さっそく入ってみる。店の人と少しおしゃべり。
二十代の後半にはじめた将棋だ。
さす相手もまわりにはいなくてもっぱら本で勉強した。
きっかけは盤駒の美しさにひかれたこともたぶんにあった。
そんなわけで一応使えるレベルのものは手に入れたが、もちろん上をみれば天井しらず。
それにしても二十数年前に手にいれた駒と同等のものの値段が、
そんなにかわっていないようだった。
やはりさみしいことと言っていいのだろう。



某月某日

  久し振りに所属しているクラブでテニス。
音楽屋のぼくが、それを忘れて過ごす場所。
ただしいつものことだけど、自分のダメさ加減に飽きれるところでもある。
今日も試合は連敗。
過激なプレースタイルで自滅といういつものパターン。

ところで、女流将棋はなぜか、過激な攻め将棋と聴いた。
テニスでは、まずそんなことはなく、
女性のシングルスの試合は男性の倍の時間がかかることもめずらしくない。
歌つている自分と人格まですこし違う気がする・・・自己評価にくるいがある…



某月某日

  六文銭ファクトリーから印刷物。
小室さんのライブの知らせに混じって、ゆいちゃんのCD発売のチラシも。
もちろん歌手、小室ゆいなんだけれど、ぼくにとってはどうしても
小室等さんとのり子さんの娘であることが大きいな。
ゆいちゃんがこの世にうまれいずる直前、ぼくは小室さんと六文銭のステージに立っていた。
小室さんが少しそわそわしていた。
大変だったとあとで知った。

  そのゆいちゃんとは数年前『スパイものがたり』の再演のとき初めて一緒の舞台で歌った。
そのときも歌が上手だなと思ってはいたが、
その後NHKのみんなの歌で歌っているのを聴いたときは、
フレーズの作り方がフォークだなと感じたものだ。
日本語の構造を素直に受け入れて歌にしていた。
年代的に見ると非常にめずらしいと言える。
そのゆいちゃんがCDを発表した。うれしい。

 
某月某日

 テニスは実にミスの多いゲームというのが実感だ。
統計的に他の種目と比較しても、そういうことがいえるらしい。
 
 今日、テニスの“コウハイ”たちにアドバイスとしてこういった。
「試合などのときは、失敗しても仕方がないなどと思わず、
むしろショットの各種類すべてについて、ミスをノルマだと考えてください。
いいですね、ノルマですよ」と、強調した。
 ちょっとはウケタ様子だったけれど、
僕自身はは、そう発言しつつ、ちょっとしみじみとした気分になってしまった。
 ま、コートに限らす、などと連想したもので・・・
                  
                                  《2004/4/3追記》






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