シルクロード題字



歌のはなし 曲名 公表作品 作詞者 作曲者
006 シルクロード 『わすれたお話』『引き潮』
及川恒平 及川恒平 

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4/4
フィンガーピッキングが似合うと思う。
ちょっと左手側の
押さえ方分かりにくいかもなあ。
上手に図解説明
できるようになるまで待ってください。


1

シルク ロード
真っ白な動物の骨を 見つけるだろう
夜明けの 砂漠で
骨が 道標べのように 赤く光っている

星が 幾度も 生まれ変わり
ぼくは夢の中で長い夢を見つづけるよ

2

シルク ロード
尖った岩山の上を 飛んで行く
ノアの箱舟が 
いくつかのタマシイをのせて 飛んで行く

街の思い出をひとつづつ
落としてきたことに ぼくはそのとき気づいたよ

3

シルク ロード
今日言葉を忘れたら 気が付いてしまった
旅の終わりには 
裸になってぼくは天にまぎれ込むだろう

星が 幾度も 生まれ変わり
ぼくは夢の中で長い夢を見つづけるよ

シルク ロード …





2001年 遺跡


  高円寺に住んでいた。
今ふりかえると、気恥ずかしいような陶酔感にひたって若いぼくはギターを弾いていた。
D11-Em7onA-A7-G/Dのアルペジオだった。
結局、それがシルクロードという曲になっていったのだが、
ともかく、その音の流れに身をひたしていたのだった。
   夏のことだ。窓をあけはなったアパートの三階の一室。
どうしてあれほどまでに、このアルペジオの響きに心を奪われたのか、
今となっては理由を思い出せない。
   曲はやがてシルクロードとなり、詞が生まれていった。
我に返ったのは弾き始めて九時間後のことだった。
もう深夜だった。灯りをつけたことさえ、憶えがなかった。
   人の出入りのけっこう激しかったアパートにしては,
めずらしく一人きりでその九時間を過ごしたのだった。
   そしてひどい空腹感にきがついた。みょうにはっきり憶えている。       

                            (ワカカッタ頃ノ話 平成十三年記)  


  この曲をセルフカブァCDの『引き潮』にとりあげようかどうか迷った。
自分としては思いいれのある歌ではあったが、
題材もフォークソングとしては特殊といってもいいようなものだし、
リスナーには疾うにわすれられた存在だろうと思っていたからだ。

  しかし去年セルフカブァCDの録音をする旨をHPなどに書いたりしゃべったりしたところ、
この歌のリクエストがけっこうあったというわけだ。
実は意外な気分だった。
題材もその理由だけれど、『わすれたお話』はプロの編曲者に依頼したものがほとんどの中で、
この歌は自分で編曲した数少ないものだったことにもよる。


  スコアを書くことすらままならないぼくが、そこからパート譜を起こして、
スタジオのミュージシャンに手渡した段階で写譜のミスがないわけがなかった。
案の定、この録音は悲惨というか、おわらいというか。
たとえば、まだ演奏しているはずのあるパートの奏者が途中で突然立ち上がって、
暇そうにうろうろしだしたこれはぼくが繰り返しの記号を書き忘れたためだった。
もうひとつ、たとえば違うあるパートがあるところで突然、音をはずす。
なんどやってもだ。
シャープだかフラットの記号を書き忘れたからだが、
演奏者は笑いながら、しかも指摘はしてくれなかった・・・

 そして、「完成」した音がアルバムに入った。
冷や汗を十年分かいた労作だけれど、あとで聞くといかにもアマチュアっぽい。
今となっては、かえって新鮮だと開き直ることもできるけれど、LPの片隅にでも残ってほっとしたのだった。
  そんなわけで、自分で編曲したいと意気込んだぐらいだから、
思い入れは他の曲より強かったのではあるけれど、
四半世紀もたってリクエストをもらえるとは考えもしなかったのだ。
  さらにうれしいことに、チェンバロの高橋全さんにもこの曲が好きだと言ってもらえたし、
二人で合奏する場合の将来的な可能性の高さも指摘してくれた。  (2002/3/21記)


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